2.教師の実態
 東京都練馬区の小学3年生の母親は父母会で担任教師から「お子さんは九九が全くできないのですが、2年生の時どんな勉強をしていたのですか?」とたずねられ驚いたという。母親は子供や2年の時の同じクラスの母親に聞いたところ意外な事実が分かった。この教師は30代の女性教師であったが、彼女は「九九は子供が覚える気持ちになったときに覚えればよい」という教育方針だった。しかも「こどもは競争や戦いを好むものだ。」という考え方により、九九の時間に教室内でクラスを2分して戦争ごっこをさせていたというのである。こうした教師の独善的な授業によって、このクラスの生徒達は九九を全く覚えることなく3年生に進級したのである。親は学校で九九を教えていないことなど考えてもいなかったため子供に聞くこともなかったのである。以後、この母親は毎日、学校や教師の様子をこどもから聞いてチェックするようになったという。
 東京都大田区の医師が小学3年生の次男の父兄参観にいったときのことである。1時限目の理科の授業は何と30分もビデオテープを見るだけで過ぎ、その後、数人の生徒が意見を述べるだけで終わってしまった。2時限目の体育はドッジボールで子供チームと親チームとで対抗試合をしただけだった。すると最後に担任教師は「今日はお父さん達と遊んで楽しかったね。日頃の元気な学校での生活を知ってもらって良かったね。」といったのである。せっかくの父兄参観なのにビデオとドッジボールだけの授業。父親が知りたかったのは教師と生徒との日頃の姿であるにもかかわらず、余りにも安易な教師の授業への取り組み方であろう。
 福岡県のある私立小学校の男性教師は体育が得意で、毎日、1,2時間は必ず体育の時間を設け、運動会が近づくと授業は体育だけになっていた。「小学生は身体を鍛えることが必要。」だというのがこの教師の信念だということなのだが、生徒が宿題を忘れるとグラウンドを10周させていたという。当然、他の授業はおろそかになった。さすがに父兄から校長に訴えがあり、最近は体育の時間も少なくなったそうである。この話をしてくれた父兄の一人は「この先生の担任もあと少しですから。」と語っていた。
 東京都のある都立小学校で校長が廊下をあるいていると、自習中のクラスに気が付いた。担任から事前の報告がなかったため不審に思って校内を探してみると、何と駐車場の車の中でその教師が居眠りをしていたのである。身体の具合でも悪いのかと心配して聞いてみると、二日酔いで気分が悪いというのである。校長が注意して教室へ行かせたが、その教師は昼から早退してしまった。個人的な理由で授業を自習にし、授業を放棄をして学校から帰ってしまうなどおよそ教育者として自覚に欠けた姿勢だと言わねばならないだろう。
 体育主任の57歳の男性教師が強制わいせつ罪で逮捕されたことがあった。この教師は放課後になると目をつけていた生徒を校内の職員更衣室や教育相談室に連れ込んでいたずらを繰り返していたのである。警察の調べでは1年間で8人も被害にあっていたという。この教師の異常な行動は10年以上も続き、同僚教師にも知れ渡っていた。しかしそれは誰一人注意することなくひた隠しにされていたのだ。生徒の中には担任に訴えた者もいたが無視されたという。そのため誰にも相談できず悩み、卒業後もその教師に呼び出されたりしたため2年間も登校拒否になった上、非行に走ってしまった。こうした事件は子供の将来を考えた親の気持ちを逆手にとって、ひた隠しにされるケースが多い。結局、この事件は親が告訴を取り下げ、この教師は不起訴処分になったのである。