5.教師の義務
 教師は地方公務員として地方公務員法の服務規程に従わなければならない義務がある。しかし教師は父兄がそうした法律に無知であることを利用して好き勝手なことをしていることが少なくない。親も子供を守るためにある程度の法的な知識を得ておく必要があるのだ。その一つがこれである。「法律または条例に定めがある場合をのぞくほか、その勤務時間および職務上の注意力のすべてを、その職務遂行のために用いなければならない」(地方公務員法三十五条)これに反した場合、教師は服務規程違反となる。

 東京都千代田区に住む小学五年の長女がけがをして帰宅したため、調べてみるといじめの被害にあっていることが分かった。ノートや鉛筆も破損しており、父親はすぐに担任に訴えた。しかし担任は見たことがないという。父親は再び長女に尋ねると、いじめはすべて教師の見ていない休み時間に行われていることが分かった。父親は「休み時間に子供が何をされているのか分からないというのは教師として怠慢ではないか。」と抗議すると「休み時間は休息の時間なので面倒見きれません。なんならお父さんが来て見張って下さい」と反論したのである。父親が公務員法や教育公務員特例法などを調べた結果、教師には上記の職務専念義務が定められていることが分かったのである。それは休み時間は休息の時間ではなく教師の勤務時間になっており、公立校の場合、昼休みや授業のあいだの時間も勤務時間として給与支給の対象になっているのである。そのため勤務時間は、朝8時から午後4時となっているのである。これまでの例で、いじめや校内暴力の多くは休み時間に発生していることが分かっているのであれば教師もそれに対処するために教室にいなくてはならないのである。この事実を父親は担任に突きつけたとき担任は反論できなくなり、休み時間も教室に残って、子供達を指導していくことになったのである。もし、このケースで父親が公務員の法律を調べることがなければ、担任はいつまでもその問題を放置していたはずなのである。

 清瀬市の子供の母親が、選挙になると必ず担任が特定政党への投票を依頼してくるので困っているということがあった。これは子供の担任であるという立場を利用して父兄に断りにくい心理を与える悪質な行為であり、公職選挙法の「地位利用による選挙運動等の禁止」に違反している。当然、担任変更や転任の要求ができる根拠ともなるものである。母親には校長と教育委員会に訴えることを勧めた。

【教師の選挙活動(政治活動)を禁止した関連法規】

 ・特定の候補者の当選を図るために、PTAや父母会などの会合で、その候補者の推薦を決定させたり、投票依頼をすること。
 ・学校における面接指導の際に、自分の支持する政党や候補者の名をあげること。
 ・家庭訪問のときに、特定の政党や候補者に投票するように依頼すること。
 ・父兄に電話で投票依頼をすること。
 ・特定の政党や候補者の名をあげ、賛成または反対の運動、署名運動をすること。
 ・選挙用ポスターを貼ったり、選挙運動員になり投票をよびかけること。
 ・受け持ちの子供に政党や候補者などのビラを貼らせること。
 ・特定の候補者を推薦する文書を父兄や子供に配布したり、子供に持ち帰らせること。
 ・職員室に”○○候補の当選を期す”といったポスターやビラを貼ること。
 ・特定の政党や候補者のために資金カンパの運動をすること。